内部統制と組織風土

 地方自治法の改正により自治体のガバナンス強化のため内部統制制度の構築が行われることとなった。都道府県と政令指定都市以外の市町村は努力義務に留まっており実施予定のない市町村が多いが、なかには進んで制度構築を検討している自治体もある。

組織体としてのリスクマネジメントは企業も自治体も同様に重要であるが、法により身分保障された公務員と4年任期の公選職トップで構成される自治体のガバナンスには企業とは違う特段の留意が必要である。

 

リスク管理の仕組み自体を導入することは比較的容易であるが、ともすれば既存の内部事務や行政監査との重複事務が増え、新たな書類作成のみが形骸化した事務として増える可能性がある。組織の構成員の行動や発想に影響を与える組織風土づくりが最も大切であると考える。リスクに鈍感な組織風土が醸成された組織では最もその組織風土に馴染んだ職員が高位の職位に就くことが多く、組織としてリスクの顕在化自体に否定的になりやすい。

 

 もとより組織風土は仕組みや掛け声だけですぐに造られるものではなく、長期的な視点に立った仕事の仕方や行動規範の造成により時間をかけて醸成されるものである。首長が果たしうる役割は内部制度そのものというより、組織風土というもう一段大きい視点から組織のあり方を眺めていくことにあると考える。

 

[2021年参加研究会より]