これからの「市民協働」

「市民協働」が叫ばれて久しい。社会を維持するためのサービスを全て行政が担い、また市民が全てを行政に頼るのではなく、市民の力、民間の力を取り入れながら社会サービスを展開すべきとの理念は、現在も全く褪せることのない、そしてこれからも重要な社会経営の軸である。

 

一方で市民協働が叫ばれ始めた当初から、公共施設を指定管理者制度を活用して民間企業に管理してもらうことや、PFI方式により民間資金を活用して公共事業を行うこと、市民だよりの配布を自治会に委託することなど、もっぱら行政の仕事の一部を企業や自治会が担うことが市民協働の具体的な形として認識され、多くの自治体がそれを進めてきた。

 

しかしそのような定型を追う市民協働はそろそろ卒業すべきだろう。無論社会は行政のみならず企業や個人それぞれが役割を果たすことによって経営されるべきである。ただ社会の状況は変化を続けている。住民同士の関係の浅い集合住宅が増え、二地域居住など生活スタイルも多様化するなかで、地域のあり方もまた多様となっている。市民協働の形にも進化が必要ではないか。

 

今日的な社会状況を踏まえ、単なる行政の仕事の切り出しではない新しい市民協働の姿を模索していくべき時期に来ていると考えている。

 

[2021年講演より]