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GiverとTaker

人間関係は多くの社会人にとって最大の課題である。とりわけ頭を悩ますのが職場の上司や同僚との関係であろう。

 

個人的経験から思うのが、私たちが付き合う人には、自分自身の時間や心を奪う方に多くの影響を与える人(私は「Taker」と呼んでいる。)と、自身にプラスの経験や知識、人生のヒント、そして心に安心感や勇気を与えてくれる人(私は「Giver」と呼んでいる。)の2種類があるということである。

 

もちろん人が全てGiver or Taker、に分類されるのではなく、あくまでも自分にとってGiverかTakerか、ということである。

 

上司は組織業務のマネジメントをする存在であり、部下にとっては基本的にTaker、である可能性が高い。しかし稀に「この人はGiverだ」と思える上司に出会うことがある。大きな人格を有し、部下の心理やマネジメントの要諦を掴んでいる人がそうなのであるが、そのような上司に出会うことは自分自身にとって大きな成長の糧となるであろう。

 

一方、上司か否かに関わらず「Taker」に分類される人に出会うことの方が可能性としては高いのかも知れない。組織人であるか否かに関わらず、人は誰しも他人を活用して自身の義務を果たし実績を積もうとする傾向があるからである。そのような人と直面した場合にはどうすれば良いのか。

 

もし幸運にもその人と必要以上の関わり合いを持たずにすむ関係にある場合には、徹底的に関わりを避けることをお勧めする。Takerは悪意ではなく他人の時間や労力を奪い、心にダメージを与える行動パターンを取る人なので、自分が何か行動を起こしてもそれを是正することは困難なことが多い。他者の評価など自分に少しくらいのダメージがあったとしてもできるだけ接触を避け、知らぬ存ぜぬの関係にするのが一番である。

 

では上司など避けようのない関係にある場合にはどうすれば良いのか。簡単に言えば、必要以上のTakeをされることのないよう、真正面から向き合わず適当にあしらう技術を身につけるのが最適である。上司がTakeしようとする時間や労力、心理的プレッシャーを肩透かししてこなし、適当にあしらう。その技術を身につけることもまた、組織人が身につけるべき重要なスキルである。それでは心が痛むという人もいるかもしれないが、Takerは常に他人の時間や心をTakeすることを自身の燃料としている人なので一般的にはメンタルが強く、相手から逃げられてもそんなにダメージを受けない人が多い。

 

ただTakerから身を守るにはそれなりの訓練が必要なこともまた事実。

Takerから身を守る技術、それは訓練して身につけておくべき社会人必須のスキルでもあろう。