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「空室税」はありか無しか?

神戸市の有識者会議がタワーマンションの空室に対して課税する「空室税」の提言をしたとの報道があった。都市計画規制によって一定規模以上のタワーマンションの建設制限を行っている神戸市の都市政策は他都市とは一線を画するものであり、市として明確な価値観を示している政策と言える。その評価は現時点では難しいが、近隣の都市政策との均衡が気にはなるものの、都市のあり方としての一つの方向性であり、その評価は後世に委ねられるものと思う。

 

一方でタワーマンションの高層階の空室に対して課税によって将来の課題に対応することについては、報道を見る限り、今のところ正直「気持ちは分かるが・・・」との感がある。

 

タワマンの高層階を購入しつつ空室にしている人は事後の値上がりを予想して転売によるキャピタルゲインを得ようとしているものと思われる。昨今では億を超える買い物をしてキャピタルゲインを狙う人たちの金銭感覚に、地方税の課税という維持経費の増加という手段が本当に効果的なのかは良くわからない。また受益との関係性を重視する地方税で、どのような税目でどのような課税をするのか、実務的にはその課税基準や実態補足はどうするのか、課題が多そうに思えて具体な策が直ちには想像できない。もしかしたら神戸市はそのような検討を既に終えている可能性もあるが、もし実現できるとすれば極めて興味深い制度になると思う。

 

達成しようとする目的に対してどのような手段を講じるのか、政策学でいう政策目的と政策手段であるが、かねてから新しい取り組みを先取している神戸市からどのような政策手段が飛び出してくるのか、期待感が高まる報道である。