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新しい講義

新年度も早くも3週目となった。大学での講義も早くも9年目となりそんなに戸惑いも無くなっているが、今年度からは新たに全学の学生を対象に二つの新しい講義を担当する。

 

その中でも税金と社会保障制度についての講義は、自分自身がずっと思ってきた問題意識を目の前の学生を対象に具体化するものだ。民主主義の劣化が指摘されているが、民主主義を立て直すためには国民の水準を底上げしていく必要がある。政治家の劣化や選挙制度の欠陥もそのとおりではあるが、その大前提として、主権者たる国民がそれに相応しい能力、いや能力という以前の基礎的な力を持っているのか、ずっと思ってきた問題意識である。

 

国があって国民が存在する。逆もまた然り。国民と国は主権者とその構成組織という関係とともに、受益と負担の関係も有することを忘れてはいけない。その基本が受益となる社会保障や負担である税金である。税を担うことはどういうことなのか、国から受ける便益はどのような仕組みで成り立っているのか。自分の給料明細から天引きされるお金がどのようにして使われ、自分自身に跳ね返ってくるのかを知っておくことはとても大切だと思っている。

 

開講にあたっては、そんなに難しいことを教えてもらっては困る、との意見もあって少し驚いたが、社会人としての基礎知識として一生付き合っていくことになる税や年金などの知識は学校教育はおろか社会に出ても学ぶ機会はない。基礎的な知識を獲得して社会に出ることで、将来自分にとっての武器となる時も来るであろう。

 

昨日はその初回講義であったが、定員満員の学生が集まっていて、みんな目を輝かせながら参加していた。学生たちの将来にこの社会がきちんとした形で維持存続されていくためにも、国民基礎力としての知識をしっかりと身につけて欲しいと願っている。